ジェイアイ傷害が2016年度の海外旅行保険事故データを発表
JTBグループのジェイアイ傷害火災保険は、2016年度の海外旅行保険契約者の事故発生状況についてまとめました。
2016年度 海外旅行保険事故データ
1996年の調査開始以来、毎年行われるジェイアイ傷害火災保険株式会社の海外旅行保険事故データは今年で22回目。2016年度(2016年4月~2017年3月)の海外旅行保険事故データを見ていきましょう。(ジェイアイ傷害火災保険調べ)
1.事故発生率
海外旅行中の事故発生率は3.40%。確率的には29人に一人が何らかの事故に逢っている計算となります。
- 事故発生率
- 3.40%(昨年度より0.2%減少)
- 事故に遭う確率
- 29人に1人(当社の保険金支払件数/当社保険加入者数)
2.補償項目別 事故発生割合の状況(全地域)
補償項目別でみると最も事故件数が多いのは『治療・救援費用』です。事故発生割合は51.5%(前年比+2.5%)で、ケガや病気の治療費用や医療搬送費用等を補償します。
2番目に多いのは『携行品損害』で、事故発生割合は30.9%(前年比△1.6%)。海外旅行中にスーツケースやカメラ等手荷物の盗難や破損が補償されます。
3番目は『旅行事故緊急費用』で、事故発生割合13.7%(前年比△0.2%)。航空機の遅延や欠航、航空会社に預けた手荷物が現地に届かない等、予期せぬ偶然な事故により負担を余儀なくされた費用(交通費、宿泊費、食事代、身の回り品購入費等)を補償します。
これら上位3項目で全体の96.1%となっており、海外旅行保険における3大トラブルとなっているのがわかります。
補償項目別事故発生割合の状況(保険金支払件数ベース)
順 | 項目 | 割合 | 割合前年比 |
---|---|---|---|
1 | 治療・救援費用 | 51.5% | +2.5% |
2 | 携行品損害 | 30.9% | △1.6% |
3 | 旅行自己緊急費用 | 13.7% | △0.2% |
4 | 旅行キャンセル・中断 | 1.9% | △0.7% |
5 | 個人賠償責任 | 1.1% | △0.1% |
6 | その他 | 0.9% | +0.1% |
計 | 100% |
※注1)記載の以下項目は( )内を含みます。
(1)治療・救援費用(傷害・疾病治療・救援者費用、疾病応急治療・救援費用)
(2)携行品損害 (生活用動産)
(3)旅行事故緊急費用 (航空機遅延、航空機寄託手荷物遅延)
(4)個人賠償責任 (家族総合賠償責任)
※注2)上記「旅行キャンセル・中断」とは「旅行キャンセル費用」、「旅行中断費用」を合わせた項目となっております。
3.補償項目別 事故件数の状況(地域別)
海外旅行の行先によって発生する事故の特徴が顕著となっています。
- ヨーロッパ:「携行品損害」の事故が多い
- ヨーロッパへの旅行の場合、便の乗り換えのため、荷物の積み替えがある場合が比較的多く、スーツケースの破損が相次いでいます。また、周囲に対する警戒心が乏しい傾向のある日本人は、外国の犯罪者の目には「容易な標的」としてスリ等に狙われやすいといわれています。このような理由から、盗難被害も多数発生し、「携行品損害」の割合が多くなっています。
- アジア・オセアニア:「治療・救援費用」の事故が多い
- アジアは、地域により衛生環境が良好とはいえず、気候も日本とは異なります。このため、腹痛・風邪等の病気が発生しやすく、「治療・救援費用」の割合が多くなっています。
- グアム・サイパン:「旅行事故緊急費用」の事故が多い
- グアム・サイパンは、航空機の遅延や欠航時の費用を補償する「旅行事故緊急費用」の割合が多くなっています。
4.高額医療費用事故(治療・救援費用保険金支払)
2016年度は治療・救援費用保険金支払額1,000万円以上の高額医療費用事故が7件発生しております。
高額医療費用事故(治療・救援費用保険金支払)TOP5
No | 国(地域) | 年代 | プラン | 支払保険金 |
---|---|---|---|---|
内容 | ||||
1 | カナダ | その他(64歳以下) | 無制限 | 3,890万円 |
ホームステイ先の居間で口から泡を吹いて倒れ救急車で搬送。脳炎と診断され19日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 | ||||
2 | アメリカ | シニア(65歳以上) | その他 | 2,528万円 |
体のだるさを訴え受診。くも膜下出血と診断され19日間入院・手術。家族が駆けつける。 | ||||
3 | サイパン | シニア(65歳以上) | 無制限 | 2,367万円 |
飲酒後に転倒、後頭部を強打し救急車で搬送。頭部外傷・硬膜下血腫と診断され10日間入院・家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 | ||||
4 | アメリカ | その他(64歳以下) | その他 | 1,836万円 |
レストランに並んでいたところ意識を失い救急車で搬送。心不全と診断され5日間の入院・手術。家族が駆けつける。 | ||||
5 | オーストラリア | シニア(65歳以上) | 無制限 | 1,582万円 |
地下鉄のエスカレーターで服の裾を巻き込み転倒し救急車で搬送。頭部外傷・骨盤骨折と診断され24日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 |
5.高額医療費用事故
「治療・救援費用」の保険金支払いが300万円以上の高額医療費用事故の2016年度の発生件数は70件となりました。
「治療・救援費用」の大半は現地治療費や医療搬送費等となりますが、現地通貨(場合により米ドル)建てでの請求となるため円安が進むことで円ベースでの支払いが増加します。併せて全世界的に医療費が上昇傾向にあることも、その要因となっています。
高額医療費用事故を年代別でみると、シニア層(65歳以上)が半数弱を占めています。アクティブなシニア層が増加しているといわれていますが、転倒による骨折や脳疾患、心疾患、肺炎等により入院や手術、医療搬送などが必要となり、高額となるケースが多発しています。
なお、シニア層(65歳以上)の高額医療費用事故発生率は65歳未満の約4倍となっており、特に注意が必要です。
高額医療費用事故件数推移
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